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アニメーションブートキャンプ新潟2021実施レポート

令和3年11月27日(土)と28日(日)の2日間、「アニメーションブートキャンプ新潟」が開催されました。

会場は新潟市の開志専門職大学アニメ・マンガ学部古町ルフルキャンパス。受講生は同校の学生と、同じく新潟市内にある日本アニメ・マンガ専門学校の学生たちの合計28名です。

 

 

講師をつとめたのは、以下の7名。いずれも第一線で活躍するアニメーターやディレクターの皆さんです。新潟のスタジオからも、3名の講師が参加しました。
後藤 隆幸(アニメーター、キャラクターデザイナー/株式会社プロダクション・アイジー)
斎藤 俊介(映像ディレクター・アニメーションディレクター)
富沢 信雄 (アニメーション監督/株式会社テレコム・アニメーションフィルム)
りょーちも(アニメーター・キャラクターデザイナー・アニメーション監督)
小村方 宏治 (Production I.G 新潟スタジオ)
下妻 日紗子 (Production I.G 新潟スタジオ)
渡部 由紀子 (Production I.G 新潟スタジオ)

 

このワークショップのねらいは、2Dと3Dを問わずアニメーション表現の核となる「伝わる表現」の基礎を、体験的に学んでもらうこと。小手先のテクニックではなく、表現者としての長期的な成長を支えるための土台づくりを目指します。

 

 

初日は挨拶とオリエンテーションの後、「シアターゲーム」と呼ばれる身体を動かすフェーズから始まりました。様々なテンポで歩いてみたり、「エアなわとび」や「エアキャッチボール」などの体験を通じて、動きのイメージを伝え、他者と共有することを学びます。

 

 

 

次のフェーズは、アニメーションの基本である「歩き」の表現です。グループ内で共同で動きを検討するために、紙製の関節人形を使い、自分たちの身体でも確認しながらポーズを吟味してもらいます。

 

 

グループは全体で6つに分かれ、それぞれに講師が寄り添って指導にあたります。また1グループは3DCGチームで、手描きチームと同じ課題に3DCGソフトウェアのBlenderを使って取り組みます。2Dと3Dとが同じカリキュラム、同じ教室内で学ぶというのは、2Dと3Dの双方に共通する基礎教育を目指すブートキャンプならではといえるでしょう。

 

 

導入の歩きの課題の後、今度は本番課題として、グループ全員で1本の作品制作に取り組んでもらいました。1人1カットずつを担当し、箱を持ち上げて運ぶという基本ストーリーを表現する課題です。箱の中身はグループごとにそれぞれ異なるので、その重さをキャラクターの演技で表現する必要があり、とても難しい課題です。グループ内で協力しあいながら、講師の指導をうけて完成に向けて全員が粘り強く取り組みました。

 

3Dチームの参加者の多くはBlender初心者でしたが、講師の熱心な指導と使いやすいリグデータ(操作のための骨格やコントローラが組み込まれたキャラクターのモデルデータ)のおかげで、限られた時間の中で、無事に作品を完成させることが出来ました。

 

 

2日間の制作を終え、上映ルームで全グループの完成作品が上映されました。アニメーション映像に自分たちの声をあてる即興演出も行われ、笑い声も起きる楽しい上映会となりました。

 

 

上映会の後、講師の方々を囲むQ&Aセッションが行われました。プロになるために必要な心構えや技術向上のためのアドバイスなど、一つ一つの質問に講師の皆さんが真剣に答え、学生たちもメモをとりながら熱心に聞き入っていました。

 

 

最後に講師から受講生たちにブートキャンプの修了証が手渡され、濃密な2日間のプログラムは幕を閉じました。

 


Q.ブートキャンプに参加して自分の中でどのような変化がありましたか?

●プロ中のプロから教えて頂いたアドバイスがすごく勉強になり、動きを違和感のないようにする事ができるようになったと思う。
●個性を見つけられた。
●観察力をもっと大切にしようと思えた。
●見えないところまで観察することが大切だということに気づいた。
●将来に対する不安は変わらないが、覚悟ややる気は大きく上がった。
●動きを描くだけではなくて、キャラクターの性格や状況などの変化で描き分けなければいけないと気づけた。

 

Q.ブートキャンプの経験は、今後の活動にどのような影響があると思いますか?

●向上意欲が出た。
●さらにアニメーターになりたいと思った。
●自分のアニメーションを作る力やセンスへの理解が深まり、進路を考える上での参考になった。
●より3DCGの道に興味が湧いた。
●アニメーターとしてどんなことが出来たらよいか、どのように時間を使ったらいいか、これからの学びの参考になった。
●現役の講師の声を聞いて、より具体的に将来を考えるきっかけになった。

 

Q.今回のワークショップで、あなたはどのようなことを学んだと思いますか

●アニメーションに真摯に向き合うこと。
●動きの作り方や、観察力の大切さ。
●感覚を言語化して描き出す方法や、重さを絵に表現する動きを、自分の班だけでなく他の班のアニメーションを見て学べたと思う。Q&Aはすべて有意義なもので、今後の作品集作りや技術向上に役立てて自分の力にしたい。
●チームでアニメを作ることの楽しさ。
●アニメーションの基本である動かすことの難しさ、楽しさを実感でき、アニメーターになりたいと思う気持ちがより強くなった。また、現役のプロの方々のお話を聞いて、アニメの仕事の具体的なイメージを知る良い機会にもなった。
●将来、アニメーターなどになった時の心構えや考え方。