• レポート
  • ワークショップ

令和7年度『アニメーションブートキャンプ in School テストケース』実施レポート

本年度の新たな取り組みとして、アニメーションブートキャンプを教育機関のカリキュラムと連動させる可能性を探る実験的ワークショップ『アニメーションブートキャンプ in School テストケース(以下、ブートキャンプ in School)』を、令和7年11月9日(日)に新潟の開志専門職大学で実施しました。

ブートキャンプ in Schoolでは、これまでのブートキャンプにおける5〜6名の講師が参加する指導スタイルを見直し、1〜2名程度の講師人数でも実施できるプログラムにしました。それによって小規模な教育機関とも連携しやすくなり、将来的にブートキャンプを専門学校や大学等のカリキュラムと連動して実施したり、現行のブートキャンプの実施回数や地域を更に拡大したりする可能性が高まると考えられます。今回のテストケースでは、そのような可能性について、実践を通じて検証することを目的としました。

ブートキャンプ in Schoolの連携先は、過去に通常のブートキャンプを実施した実績のある、新潟の開志専門職大学アニメ・マンガ学部です。同校の2年生12名を対象として、1日形式のワークショップを行いました。ワークショップ講師を務めたのは以下の2名。東京からの派遣講師1名と、地元のスタジオ所属の講師1名という、2名体制で指導にあたりました。

・後藤 隆幸(アニメーター・キャラクターデザイナー/株式会社プロダクション・アイジー)
・小村方 宏冶(アニメーター、演出 /株式会社プロダクション・アイジー 新潟スタジオ)

身体で感じる

基本的なカリキュラムは、通常のブートキャンプをベースに、よりシンプルに「歩き」に焦点をあてた内容です。まずは導入パートとして、通常のブートキャンプと同様に身体を動かし、様々なテンポの「歩き」、そして「走り」との違いを身体で感じてもらいます。

課題の説明

続いて竹内ディレクターから、課題の内容が説明されました。主人公の男の子の性格・状況設定・「歩き」のニュアンスを伝えるオノマトペ<擬音語・擬態語>からなる短いシナリオが示され、それを各自が表現するという課題です。

演技の検討

まずは2つのグループに分かれ、各グループの「歩きの演技」を詰めていきます。重要なポイントは、主人公の男の子になりきって実際に演じてみるということです。

キーポーズの吟味

グループ内の演技が決まったら、各自がその「歩き」を表現するキーポーズを描いてみて、その後に全員でその適切性を吟味してグループ内の共通のキーポーズを確定させます。

講師の指導

講師たちは適宜、描いてみせたり言葉で説明したりしながら、学生たちを丁寧にサポートしていきます。

KOMA CHECKER

描いた絵は適宜、布山ディレクターが開発したKoma Checkerを用いて撮影し、みんなでその結果を吟味します。「みんなで見る」ということも、ブートキャンプの重要な学びのプロセスの一つです。

「歩き」の講座

途中、後藤講師による歩きの講座も行われ、歩きの表現における重要なポイントについて説明がなされました。

上映

上映時には、イメージした歩きを実際に演じてもらい、それと仕上がった「歩き」のアニメーションと見比べます。

Q&A

ワークショップ最後は講師を囲んでのQ&Aです。学生たちからのさまざまな質問に対し、2人の講師が丁寧に答えていました。

また本ワークショップには開志専門職大学で教鞭をとられている瀬谷新二先生にオブザーバーとしてご参加いただき、ワークショップのカリキュラムの適切性や、学校教育に対してブートキャンプがどのような影響を与えうるのか等についてヒアリングを行いました。また県内の他大学教員の見学も受け付け、将来的にさまざまな学校で『ブートキャンプ in School』を展開していく可能性について、意見を交わしました。


 

参加者アンケートからの抜粋

 

Q.ブートキャンプに参加して自分の中でどのような変化がありましたか?

  • 歩きの描き方に対する理解度が上がった。更に深掘りしてみようと思うきっかけになった。
  • 意識や視野が広がったと思う。
  • 自分が気をつけなければならないことがわかった。
  • 自分で想像した動きと、実際の動きはだいぶ違い、テンポ感を重視して描く必要があると実感しました。
  • 観察すること、動くことが大事。
  • ポートフォリオの絵を描く上での意識。
  • 先生へのQ&Aでアニメーション業界に対する印象が変わった。
  • よりアニメーターになりたいと思えた。
  • 今日学んだことや質問で貰えた回答を活かして生活していれば、どんどん影響がでてくると思いました。

 

Q.今回のワークショップで、あなたはどのようなことを学んだと思いますか?

  • 動きのリズムの大切さ、キャラクターの印象を動きで表現すること。
  • 足の動き、他者との情報共有。
  • これからいっぱい描かなければならないのだなと学んだ。
  • とにかく沢山質問することの大切さと、失敗してもやることの大切さを学びました。
  • アニメーターはより多く絵を描くことが大切、そして一つ一つの絵を分析すること。
  • 原画だけにかかわらず、動きを描く上で自分がどういうクセがあるのか、悪癖があるのかを洗い出すことができました。
  • アニメーターになるには色々なことをやることが必要。
  • アニメの動きの作り方、中割だけじゃなく自分で最初から最後まで描く力。
  • 実際にやってみることの大切さを学んだ。