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令和7年度『アニメーションブートキャンプ1Day東京』実施レポート

令和7年12月7日(日)に「アニメーションブートキャンプ1Day東京」が開催されました。

このワークショップのねらいは、アニメーション表現の核となる「伝わる表現」の基礎となる考え方を、体験的・協同的に学んでもらうこと。参加者は12のグループに分かれ、2D手描きの課題に取り組みました。

会場は日本電子専門学校。全国各地から49名※が参加しました。
※参加者内訳:大学生【芸術系】 21名、大学生【芸術系以外】 4名、専門学校生【アニメ関連】 8名、無認可校【アニメ関連】 3名、高校生 2名、就業者【アニメ関連】 5名、就業者【アニメ関連以外】 4名、無所属 2名 / 参加者居住地:東京都 24名、埼玉県 7名、神奈川県 5名、石川県 3名、千葉県 2名、栃木県 2名、愛知県 2名、山形県 1名、富山県 1名、長野県 1名、福岡県 1名

今回、指導にあたった講師は以下の6人です。

  • 金子 志津枝(アニメーター、キャラクターデザイナー)
  • 後藤 隆幸(アニメーター、キャラクターデザイナー/株式会社プロダクション・アイジー)
  • 瀬口 泉(アニメーター)
  • 瀬谷 新二(作画監督、株式会社手塚プロダクションデジタルラボ代表、開志専門職大学アニメ・マンガ学部教授)
  • 宮脇 千鶴(アニメーター、監督)
  • 山田 桃子(アニメーター/スタジオななほし)

はじめに〜課題の説明

はじめに竹内ディレクターから、今回のブートキャンプの課題内容が説明されました。「他の人を納得させる動き」をテーマに、床から物を持ち上げる演技に取り組む作画課題です。グループ毎に指定された、大きさも重さも異なるさまざまな物(バランスボール、ボーリングの球、風船、ケーキの箱…等)を持ち上げるという演技で、それを見る人に、重さや特徴が納得感をもって伝わるように表現しなくてはなりません。

課題の説明

まずはグループごとに、実際に用意されたさまざまな物を持ち上げる動作を体感しながら、演技を検討していきます。この段階では、演技の時間的な尺とそれに基づくタイムシート、動作のニュアンスに合ったオノマトペ(擬音語・擬態語)などをグループ内で話し合って確定させていきます。

演技の方向性が固まったら、「サムネイル」と呼ばれる小さなラフスケッチで、主要な4つのキーポーズを描いていきます。まずはグループ内で各自の描いたキーポーズを見比べて最適なポーズを選び出し、それをグループ全体の共通演技のキーポーズとします。

その後、各グループ内で最も適切な4つのポーズを選び、布山ディレクターが開発したラインテストツールKoma Checkerで撮影し、演技の方向性を確認しました。

ラフ原画を描く

次に、サムネイルをもとに動画用紙に一枚ずつラフ原画を描いていきます。

描いた絵をKoma Checkerで撮影して動きを確認する作業を繰り返しながら、何度も講師の助言を得て、動きを洗練させていきます。

上映と講評

課題の最終上映では、グループによる実演を含めた上映を行い、講師による講評が行われました。

Q&Aセッション

最後は講師とのQ&Aセッションです。アニメーションの作画に関する質問や、アニメーション業界に関する質問などが寄せられ、6人の講師がそれぞれの経験に基づいて丁寧に回答しました。


 

参加者アンケートからの抜粋

 

Q.ブートキャンプに参加して自分の中でどのような変化がありましたか?

  • 生き生きとした動きの追求をしようという考えが養われたと感じました。
  • アニメーション業界に関する理解が深まったと共に、同じ境遇の方からたくさん刺激をいただけた。タイムシートを使ったアニメーションが初挑戦だったため、それの理解がとても深まった。
  • アニメーションを作るという経験をぼんやりとしか認識していなかったが、撮影での時間設定なども含めて「動く事を意識して描く」という経験ができて楽しかった。
  • アニメの動きを描く上でどのような手順で動きを考えていくか、ということを改めて学ぶいい機会になったと思います。それと同時に、自分の画力のなさや観察眼の乏しさも実感することができ、今後仕事をしていく上でもっと努力していかなければと感じました。
  • リアリティのある作画というのは、限られた人だけの特別な技能のように思っている節がありました。ですが、その意識が自分の作業のレベルを下げていたと感じました。簡単な動きでも、適当にそれっぽくこなすのか、観察と回数を重ねて作業するのかでは、仕上がりに大きな違いが出ると体験することが出来ました。
  • アニメーションとはどのようなことを意識すれば良いのか、動きとはなんなのか、実際に体を動かしながら考えるのは楽しく難しかったですが、アニメーションに落とし込み実際に動いているところを見るのは感動しました。
  • 新しいことを覚えることが楽しい、と久しぶりに感じました。
  • アナログで作画をしたことがなかったし、タイムシートを書いたのも初めてだったので、とても貴重な体験だったと感じました。
  • 今まで3DCG主体のアニメーション制作を行っていた中で、今回2Dアニメーション制作を学んだことにより、2Dの特色も取り入れたアニメーションを制作していこうという考え方の足がかりになった。
  • 与えられた時間内で完成させる意識を持つことの重要さを改めて感じられた。
  • 日本の業界の現役の方とお話できる機会がそもそも無かったので、どんなことを考えているのか触れられたことで、業界の雰囲気を知れた気がした。
  • アニメをもっと描きたくなった。

 

Q.今回のワークショップで、あなたはどのようなことを学んだと思いますか?

  • アニメーション制作をグループで行うことの難しさや、面白さ。ひとりで制作するより不自由な点もありましたが、出るアイデアの量は倍以上でした。グループで長編アニメーションの制作に挑戦してみたいなと思いました。
  • キャラクターに合わせた演技が十人十色で、参考になったし、刺激にもなった。
  • 作画における、観察、動き全体の計画を立てることの重要性。
  • 体を使って考えて、時間に追われ手を動かし、自分の許せる範囲のクオリティを発表するという仕組みがまさにアニメーション業界を物語っているような気がしました。とても刺激的な1日でした。アニメ作りの基礎を学べた貴重な機会でした。
  • 身体を動かしてどんな風になるのか、またグループのメンバーの中で相談したりコミュニケーションを取ることでよりアニメーションの演技に説得力がでたと思います。アニメ制作は個人ではなく共に制作する仲間たちとの関わり合いが大切なのだと学びました。実際の現場でも会社の方やフリーの方など色んな人が協力し合いアニメが出来ているのだと感じました。人との関わりを大切にしていこうと思います。
  • アニメは人が資本だということを学んだと思います。人が作っているという事実以上に、たくさんの方々の積み上げてきた熟練した技能でアニメが描き起こされている事実にお話をお聞きし気が付きました。意味を考える、相手を考える、他者を思いやる、そうしたお話も多かったと思います。こうした現場から出来上がっているのがアニメなのだと考えると、アニメの多くの部分がコミュニケーションで出来ているとも感じました。
  • アナログの2Dアニメーションの制作方法。3DCGアニメーションとの違い、それぞれの特色。
  • 段階ごとに教えていただきながら制作すれば私でもアニメーションを作れるということ。
  • アニメーターになる覚悟。
  • アニメを作る大変さ、素晴らしさを学んだ。動きは絵の形や軌道、タイミングなど全ての工程を丁寧に工夫していくと微調整しただけでも動きが豊かになったりして、アニメの深さを学ぶことができた。
  • Q&Aでは講師の方々から貴重なお話を聴くことでき、今後のアニメ制作や、就活の際の考え方や絵を描く上で何が重要か知ることができました。